鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

軍需産業振興法案 第147回

2023/05/17
  「防衛装備移転」とは、政府の大衆ギマン語。平和国家として、プライド高くみずから禁じてきた「武器輸出」のことだ。自分が殺人を犯さなくとも、殺人者に兵器を売りつけることなどはできない。 

    だから「防衛装備」に隠れて、「移転」の名目で武器輸出する。「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」などと言い換え、ウソのオブラートでくるんだ「偽造語」政治。最近の自公政権が、戦時中の軍部のように「欺瞞語」をつかうようになったのは、国会多数、野党弱体と軽くみてのことだ。 

    連休明けに国会で強行されようとしているのが「防衛産業強化法案」。すでに4月の衆院安全保障委員会で、自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主党が賛成している。まだ、社民、共産、れいわなどの党が反対しているから、「翼賛体制」にはなっていないが、いよいよ、財界待望の軍需産業振興。 

    76年、三木内閣のときに、全面禁輸が決められた。朝鮮戦争、ベトナム戦争では「特需」として、弾丸の輸出や戦車の修理などで企業が潤った。それが日本経済の発展の下地をつくった。その記憶が財界にある。 

    安倍内閣で、防衛装備移転三原則を閣議決定した。これまでの実質的な禁輸政策としての「武器輸出三原則」を「防衛装備移転」と言い換えたのだ。これによって、「平和貢献」、「国際協力」などの美名で輸出に道をひらいた。が、運用は厳しく制限されてきた。 

    ウクライナ戦争を奇貨として「軍需産業」が動きだした。世界の軍需産業は受けに受けている。それで安倍首相がひらいた戦争への道を、いま岸田首相が安倍派に迎合して、むりやり進めている。 

    今まで年間5兆円程度で抑えてきた防衛予算を、岸田内閣は今年度から5年間で43兆円とする。年平均1・6倍。5年目には2倍。米国、中国につぐ軍事予算となる。そのための増税が待っている。 

    そして自国の防衛産業の強化と米国からの兵器のバカ買い。さらに余剰兵器の輸出で、三菱重工、川崎重工、三菱電機、日本電気、富士通、IHIなどが昔の夢を追う。